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日程
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会場
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研修種類
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定員
- 2019年5月22日9:30~16:50
開催終了【開催名:190522_15_お茶の水】
東京都文京区
全労連会館<御茶の水駅/徒歩15分>6時間研修
講義15--名
第2章・「免疫系②」に関するご質問 | |
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ご質問 | 顆粒球の顆粒と顆粒リンパ球の顆粒の違いについて教えてください。 |
回答 | まず、内容的に簡単に説明するのが難しいため、回答が少し難解になることをご了承ください。 顆粒球と顆粒リンパ球の違いを含めて説明します。 「顆粒球」は内部に顆粒の袋をもった白血球で、好中球、好酸球、好塩基球の3つがあります。それぞれ、中性、酸性、塩基性の染色液でよく染まることから名前が付けられたもので、はたらきは異なります(つまり、顆粒の中身は異なります)。 ・好中球:食作用によって外敵などの異物を取り込み、細胞内の顆粒によって殺菌する。 →顆粒は大きく2種類。一つは細菌等の異物に接触することで次亜塩素酸を産生して殺菌作用を行う酵素(ミエロペルオキシダーゼなど)。もう一つは殺菌性酵素(ラクトフェリンやリゾチームなど)。 ・好酸球:主に寄生虫などの外来生物を攻撃する免疫細胞で、Ⅰ型アレルギー(花粉症など)ではアレルギー性鼻炎などの遅発相反応に関わります。 アレルギー性鼻炎では、即時相反応として鼻粘膜で肥満細胞からヒスタミンが放出され、知覚神経を刺激することによるくしゃみや鼻水のほか、末梢血管の拡張による鼻づまりなどが起こります。また、その6~10時間後には好酸球などの炎症細胞が集められ、持続性のある鼻づまりが起こります。時間が経ってから起こる鼻づまりの原因となるのが、好酸球がもつMBP(major basic protein)などの炎症性タンパク質とされています。 →顆粒の中身は、MBP、ECPなどのタンパク質。 ・好塩基球:基本的には、肥満細胞と同じくヒスタミンを放出してアレルギー症状を起こす免疫細胞です。肥満細胞が血管内に存在しないのに対し、好塩基球は主に血管内で同様のはたらきをしています。ただし、詳しいはたらきはまだよくわかっていません。 →顆粒の中身はヒスタミンなど。 「顆粒リンパ球」は主にナチュラルキラー細胞(以下「NK細胞」)を指し、細胞障害性顆粒を放出して異常な細胞を殺す役割があります。 免疫細胞は基本的に「自己以外の排除」を行う細胞で、「自己を表す旗(MHCクラス1分子とそこに掲げるタンパク質)」を目印にして、攻撃するかどうかを決めています。たとえばウイルスや細菌に感染してしまうと、内部で産生するタンパク質が自分のものではなくなるため、細胞外に掲げている旗の状態が変化します。このように「もともと自己の細胞だったのに、異常細胞に変化してしまった細胞」は、細胞障害性T細胞(キラーT細胞:以下KT細胞)が攻撃して排除します。 しかし、中にはこの旗を掲げていない異常細胞も存在します。NK細胞はこの旗を掲げていない細胞を狙い撃ちする免疫細胞で、その異常細胞に近づき、パーフォリンという物質で相手の細胞膜に穴を開け、グランザイムという物質でその細胞のDNAを切断して殺します。 →顆粒は、細胞膜に穴を開けるパーフォリンや、細胞を殺す(アポトーシスを誘導する)グランザイムなど。 |