受講者からの質問と回答 詳細

  • 日程

  • 会場

  • 研修種類

  • 定員

  • 2012年9月14日10:00~17:45
    開催終了
    【開催名:120914_01_宇部】
    山口県宇部市
    パルセンター宇部<岩鼻駅/徒歩10分>
    6時間研修
    講義01
    --名
第3章・一般用医薬品の基礎「胃腸のトラブルと胃腸薬」に関するご質問
ご質問二日酔いの頭痛は、市販の痛み止めで効くのでしょうか?
(アセトアルデヒドの蓄積による体内毒性に鎮痛剤はどのようなメカニズムで効くのか?)
回答結論から言うと、「ある程度の効果は期待できるが、使用を避けることが望ましい」ということになります。

二日酔いによる頭痛は、国際頭痛分類では二次性頭痛の一つである「アルコール誘発頭痛」に分類されます。一般的には「アセトアルデヒドの毒性による」と言われていますが、「アルコールそのものによる」のか、または「アセトアルデヒドの分解産物である酢酸による」のかなど、その機序は諸説あってはっきりしません。 しかし、いずれにせよ、解熱鎮痛成分の中枢における鎮痛効果は「痛覚等の知覚系通路のシナプスの感受性を低下させ、痛みに対する閾値を上げる(痛みを感じにくくする)」ものであるため、単純に「効果があるかないか?」で言えば効果があると考えられます。

適応症で言えば、OTC医薬品の効能・効果にある「頭痛」が原因の如何を問わないものとすれば、使用しても差し支えないともいえるでしょう。しかし、症例をより具体的に記載している医療用医薬品では、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリン、ロキソプロフェンナトリウム水和物のいずれの効能・効果にも「二日酔いの頭痛」または「アルコール誘発頭痛」は記載されていません。また、アセトアミノフェンとアスピリンについては「併用注意」としてアルコールがあげられており、アスピリンでは消化管出血の可能性、アセトアミノフェンでは肝毒性の可能性(とくに常飲者)が示唆されています。

そして、一般用医薬品では、肝機能障害や胃腸障害のおそれがあることから、かぜ薬、解熱鎮痛薬は「服用時には飲酒しないこと」と記載されます。このほか、解熱鎮痛薬にはアリルイソプロピルアセチル尿素などの鎮静成分を配合した医薬品も多く、これら成分による副作用が誘発されるおそれもあります。さらに、医薬品の服用は体内に残ったアルコールやアセトアルデヒドの代謝に影響を及ぼすおそれがあります。

これらのことを考慮すると、「OTC医薬品の解熱鎮痛薬は二日酔いの頭痛に効果はあると考えられるが、その副作用等の観点から使用を避けることが望ましい」という結論になります。

アルコール誘発頭痛は「即時型(飲酒後3時間以内に発現)」と「遅延型(血中アルコール濃度が低下または消失してから発現)」の2種類があるとされていますが、いずれも「72時間以内に消失」しますので、水分補給をして寝るのが一番の薬といえます。

参考資料
日本医薬品集:じほう
グッドマン・ギルマン薬理書:廣川書店 など